松本の
歴史的建築

を巡る






松本



  • 松本

    松本には多くの歴史的建物が残る。

    国宝、松本城の存在は言わずもがな、
    和の文化や江戸情緒が残る町並みと、
    明治期の擬洋風建築の代表格・旧開智学校や
    明治・大正期の洋風建築が随所に残る。

    特に、明治維新後に当時の筑摩県の権令に就任した、
    永山盛輝による熱心な教育の普及に寄るところが大きく、
    開智学校のような力の入った建築が残ることとなった。


  • 旧開智学校




    旧開智学校は、擬洋風建築を取り上げると必ずその名前が出てくる、
    代名詞の建物といっても差し支えない。

    擬洋風建築のペーパークラフトを手掛けている身としても、
    長年行きたい場所だったが、今回、ようやく訪れることができた。

    擬洋風建築は奇抜な装いのものが多いが、
    この開智学校は、その中でも最大級に、摩訶不思議な装飾がされている。


    旧開智学校は、現役の校舎と隣接した場所にあるが、
    もとからこの場所にあったのではない。
    もとは市街地の女鳥羽川沿いにあり、L字型に奥行きのある校舎だった。
    国の重要文化財の指定を受けて、現在地に移築、
    その際に創建時の姿に近づけて復元された。



    奇抜さの象徴となるのは正面の車寄せと唐破風の部分になる。
    「天使」自体は西洋の産物だが、唐破風の奇妙な天使は
    東洋の顔立ちで、体系もスリムではない。
    このデザインは当時の東京日日新聞のタイトルのデザインとかなり類似しており、
    これはパロディのようなものだったのかもしれない。
    バルコニーの瑞雲は中華風であり、様式にとらわれていないことが伺える。

    擬洋風の黎明期のデザインは、奇抜で斬新で、自由である。
    徐々にスタイルが確立されれていくと、デザインは洗練されていくが、
    大人しくなっていく。

    この時代の人々の、新しい時代への希望や、前進しようとする気風が
    感じられるから、この旧開智学校は、人々の心に残り続けるのかもしれない。

  • 旧司祭館



    旧開智学校に隣接して建てられており、
    開智学校があまりに強い存在感を放つため、付属施設の一部に見られてしまいそうな建物。
    それでも、建物単体で洋風建築として魅力的な建物。



    北海道開拓時代にアメリカから伝わったとされる下見板の外壁で、
    ベランダはコロニアル様式。コロニアル様式は、ヨーロッパ諸国が
    アジアに入植した際に、アジアの亜熱帯気候に対応するために誕生した様式。
    シンプルな作りながら、落ち着いたブルーとグリーンの色調が美しい。


  • 旧制松本高等学校



    旧制松本高等学校は、現在の信州大学の前身となる。この建物は、その本館に
    あたり、大正9年築となる。この頃は洋風建築が確立しており、
    モスグリーン調の下見板が美しい、落ち着いた外観をしている。



    ペディメントと呼ぶべき駒形破風が特徴的な正面玄関、校舎はコの字型をしている。



    本館の隣には、同じような建築様式の講堂が建っており、こちらも本館同様、
    重要文化財になっている。本館ばかり着目されている気がするが、
    こちらは玄関ポーチや塔屋があり、本館とは違った趣がある。


  • 本町




    松本の魅力のひとつは、和洋の建物を楽しめるところだろう。
    本町は、松本城下町として栄え、明治になっても変わらずに
    商品流通を担って商店が残り続けた。






    江戸情緒ある通りだが、よくみると洋館や和洋折衷の建物も混在しており、
    移り変わる時代の名残りを感じることができる。

  • その他洋館
    旧・神戸医院



    城下町のお堀の近くの一角に、これほど豪壮な建物が平然と建っているのが
    松本のすごいところかもしれない。
    大正期に地元の大工棟梁により建てられた。
    尖塔や塔屋が付いた建物の形状は複雑で、どの角度から見ても違った印象を受ける。
    白の外壁と赤い屋根の対比が印象に残る。



    そのお隣の医院も、昭和初期のモダン建築。
    戦前の建物と思えないほど前衛的なデザインをしている。
    この外堀は「お医者さま通り」と呼ばれるそうだ。


    松本市下町会館



    昭和初期に建てられた洋風建築の、ファサード(正面)部を移築し補強工事を施した建物。
    老朽化し、解体を迫られる中で、保存活動が起こり、いまの場所に保存再生された。
    もともとは化粧品店とのことで、それに相応しく凝った装飾をしている。

    白鳥写真館


    松本市下町会館の近くにある、大正13年に建てられた歴史ある写真館。
    シックで落ち着いた色調から、写真館とは思えない外観をしているが、
    建築当初から写真館として建てられた。現役という点も素晴らしく、
    いつまでも残ってほしい建物である。

  • 松本城



    言わずと知れた、国宝の名城。
    水面に写る凛とした黒い天守の姿が一番印象的である。
    天守の推定建造年は、1591年から1615年の間。
    日本で天守が現存する城は12箇所のみ、そのうち五重の天守はこの松本城と姫路城のみ。
    明治期にはお城が傾いたり、競売に出されたりと消失の危機にも遭った。
    木造のこれだけ巨大な建造物が、よくぞ何百年と維持できたものだと感嘆する。



    夜間はライトアップされており、水面に写るその姿がより一層幻想的に映る。

    松本は他所にもアクセスしやすいターミナルにもなる観光都市だが、
    見どころは多いため、一日じっくりかけての建物巡りをおすすめしたい。




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