碓氷峠・めがね橋のペーパークラフト


碓氷峠

アプトの道の旅










  • 崎駿監督の映画、「風立ちぬ」では、
    試作機を墜落させた失意の主人公が
    休暇のため軽井沢へと向かうが、
    その僅かな描写の中で碓氷峠のめがね橋が写る。
    ものの数シーンの描写で、すぐにそれが
    軽井沢に向かう風景だと判ったのは、
    アニメーションに空気を感じさせる
    技巧(マジック)なのだと思った。

    その主人公が軽井沢に向かうのに乗った
    鉄道が、碓氷峠鉄道。
    長野新幹線の開通に伴って、惜しまれつつ廃線となった、
    明治期から残る幻の路線である。




    明治期、産業の急速な発展に伴って
    鉄道網の敷設が旧ピッチとなり、
    上野〜群馬・横川、長野・軽井沢〜新潟・直江津
    間が続いて開通した。
    しかし、東京〜北陸までの物流は
    横川〜軽井沢間で途絶えることになるため、
    この区間の鉄道の敷設が望まれた。





    碓氷峠は急勾配の道が続く
    中山道の難所として知られ、
    険しい山々に囲まれた峡間の地。
    それゆえに古く中山道の関所もここに造られた経緯もある。

    そんな土地に鉄道を敷設するのは容易ではなく、
    明治初期のまだ未熟な国内の技術では実現できない。
    そこで、海外の山岳鉄道の最新技術を輸入し、
    始めて実現できたのだった。
    その技術が、当時ドイツ山岳鉄道に用いられていたアプト式と
    呼ばれるものだった。
    これは山岳用に特殊なレールを用意し、
    急勾配を登る駆動力と耐久性を生み出す手法で、
    この技術により碓氷鉄道が実現することとなった。




    いま、横川〜めがね橋〜熊の平までの
    廃線跡のハイキングコースが「アプトの道」
    と呼ばれる所以はここにある。
    「アプトの道」は横川駅から
    廃線跡がきれいに整備されていて、
    熊の平まで片道およそ2〜2.5時間で散策できる。
    広々とした線路跡を歩くため、道に迷うこともない。



    景色の変化に富み、トンネルやアーチといった
    見所も多いため、終始楽しめて飽きることがない。
    ただ、往復するとそれなりに大変なため、片道は
    期間限定で運行している「めがねバス」なども利用したい。
    (通常だと軽井沢までの直行便が定期運行しているのみで、
     めがね橋や熊の平などでの途中下車はできない)
    ※なお、軽井沢と横川では標高差がかなりあり、
     横川からは登りコース。熊の平から下るコースが最も楽となる。



    碓氷鉄道の建設は1891年6月着工、翌年12月完成という
    驚くほどの短期間で行われている。
    それだけ、国策として重視されていたのだろう。
    難儀な工事を、突貫といえる期間でやってのけた。
    にも関わらず、いまこの「アプトの道」を歩いてみると、
    レンガの橋梁や数々のトンネルは素晴らしく立派である。


  • めがね橋
    そして、中でもひときわ魅了されるのが、
    4連アーチの巨大な「めがね橋」。



    国内最大のレンガ造りのアーチであり、目前にすると圧倒される。
    この上に鉄道が走っていると、さらに壮観だったことだろう。





  • 旧丸山変電所



    ここは動力を蒸気機関から電気へと切り替えた際に建設された。
    外観は、長崎の鉄川与助の教会を彷彿とさせるように美しい。
    およそ変電所とは思えない。逆にいうと、
    なぜ変電所ひとつでここまでの意匠を尽くしたのか、
    理解に苦しむほど素晴らしい。



    2013年11月には特別に内装も見学できた。
    もともとは廃墟だった建物の外装は修復されたが、
    内部はまさに遺構で、当時の時代の雰囲気をそのまま感じ取れた。
    ・蓄電池室


    ・機械室


    山岳列車の歴史を垣間見れる「アプトの道」は
    歴史的な遺構として十分な価値を持っている。



- Click Map -



Welcome

AMFF by TAK
画像の無断転載・複製はご遠慮ください。


inserted by FC2 system