常滑・明治村の旅


常滑は陶器の迷路。

煙突が林立する
立体的な地形の中に、
小路地が入り乱れる。






常滑迷宮案内




  • 常滑迷宮案内

    古屋から名鉄常滑線で約30分。
    常滑駅が近づき、常滑の街並が車窓から
    見えたとき、この町の散策が楽しいものになることが予感できた。



    いまだ、街には煉瓦の煙突が林立し、
    年季のある瓦屋根の家屋が立ち並ぶ。
    煙突と瓦屋根の景色とは、なんと不思議によく似あうことだろう。

    駅から大通りを進み、坂道を登ると
    常滑の迷宮への入り口となる。
    脇道、小道がいたるところにあり、
    入り組んだ道は地図を見ていても
    立ち位置がよくわからなくなる。




    それでも、常滑の一帯は広くはないことから、
    しばらく歩いていると土地勘がつかめてくる。
    土地勘がつかめれば、
    あとは街の風情をくまなく楽しめばいいだけだ。
    街の至る所には窯が残り、煙突が残る。
    大小もさまざまであり、このひとつひとつの
    窯の個性に合った焼き物を、陶芸家は造っている。



    常滑焼の特徴は、その柔軟性にあるようだ。
    常滑焼の名前を聞くと、朱泥土そのままの
    色の陶器を思い浮かべるが、このイメージは
    江戸時代や明治時代の印象から付いているようだ。
    江戸時代には瀬戸焼などに押され、衰退したが、
    急須作りなど特色を生かした産業が発展。
    明治時代になると経済の発展に合わせ、
    土管やタイルなど、工業製品の生産が盛んになった。




    都市建設には水道管や電気管などで土管は
    インフラの要となり、需要は膨大だったため、常滑は大きく発展した。
    また、製陶業には割れ物などの産業廃棄物は付きもので、
    古くからそうした廃棄品を道や壁の補修に使用していたため、
    現在のような特殊な街並みとなった。




    現在でも、土管の色をイメージするような
    朱泥土色の陶器ばかりかというと、そんなことはない。
    ギャラリーを覗いてみると、さまざまな陶器が立ち並ぶ。
    落ち着いた風合の中に作家の個性が投影され、
    「常滑焼=渋い」のような先入観は忽ち覆されてしまう。
    常滑焼は時代のニーズに合わせて変容する、
    柔軟性を持ち合わせている。

    この街も足早に観光するのは惜しまれる。
    半日以上の時間をかけて、じっくりと陶芸の迷宮を堪能したい。




  • 明治村

    この旅行記でテーマパークを取り上げることは
    まずありえないが、明治村は例外のひとつとなる。
    ここに移築保存される建物は
    明治・大正・昭和期に建てられた、
    重要文化財や有形文化財ばかり。
    「明治村」が活動しているような希少建物の
    保存活動がいかに大事なことであるかを思い知らされる場所でもある。

    聖ヨハネ教会堂


    この手記を書いている2014年でも、
    昭和初期に建てられた大阪にあるヴォーリス建築の心斎橋大丸が
    建て替えを表明し、もしこのまま保存や移築が行われなかったら、
    あの素晴らしい建築が永久に失われてしまう。
    戦災や震災を耐えて残った美しい建築が、
    あっさりと失われてしまうのは悲しむべきことだ。
    それこそ、心斎橋大丸店も、明治村への移築保存を
    検討いただけないものだろうか。

    西郷従道邸


    経済成長のため、これまでもいくつもの名建築が犠牲となったことだろう。
    ここに残る建物は、放っておいたら
    取り壊され、消失してしまった運命にある建物ばかり。
    ここを訪れると、取り壊されなくてよかったと
    心底安堵するような、素晴らしい建物がたくさん残っている。

    北里研究所本館


    ここでは、ひとつひとつの建物の詳解はせずに、
    明治村散策の参考プランを提示したい。
    明治村での車以外のアクセスは、
     ・犬山駅→明治村
     ・名古屋(栄・伏見も可)→明治村
    の方法がある。名古屋近辺に宿泊した時などは、
    名古屋→明治村直通バスを乗ると、アクセスは非常に便利だ。

    聖ザビエル天主堂


    また、見応えのある建物が多く、1個1個をゆったり見て回ると、
    一日ではとても回りきれない。
    一日で見て回りたい場合は、「この建物はじっくり見て、
    この建物はあっさり見る」など、ある程度の重みづけが必要になる。
    少なくとも、歩き通しになることは覚悟しなけれないけない。

    帝国ホテル


    明治村はエリアで5丁目まで分かれており、
    中間地点の3丁目近辺で昼食を取るなどすると、
    閉館までの目星が付き、時間を調整しながら巡ることができる。
    また、入鹿池(池といってもかなり大きい)の畔にある明治村は、
    自然豊かな環境に囲まれたその景観も楽しめる。





- Click Map -



Welcome

AMFF by TAK
画像の無断転載・複製はご遠慮ください。


inserted by FC2 system