宮沢賢治の旅
イーハトーブは一つの地名である。
強て、その地点を求むるならばそれは、
大小クラウスたちの耕してゐた、野原や、
少女アリスが辿った鏡の国と同じ世界の中、
テパーンタール砂漠の遥かな北東、
イヴン王国の遠い東と考えられる。
実にこれは著者の心象中に、
この様な状景をもって実在した
ドリームランドとしての日本岩手県である。
そこでは、あらゆる事が可能である。
人は一瞬にして氷雪の上に飛躍し
大循環の風を従へて北に旅することもあれば、
赤い花杯の下を行く蟻と語ることもできる。
罪や、かなしみでさへ
そこでは聖くきれいにかがやいてゐる。
(「注文の多い料理店」ちらしより)
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