愛媛・香川
引田、宇多津、
卯之町、内子
昔町を巡る
香川 引田・宇多津 愛媛 卯之町・内子
四国、香川と愛媛には、電車で巡ることができる昔町がある。
それぞれの異なった特色や趣を持ち、また歴史を物語っている。
引田
高松から特急列車で50分ほど、
東かがわに位置する引田は、瀬戸内海に面しており、
湾に突き出た城山が風邪を防いでくれることから、
古くから「風待ちの港」として栄えた。
現在も名産となっている醤油の醸造は1804年以降の
時代から活発になり、物資の集散地や特産品の商いなどで繁栄してきた。
青い漆喰の虫籠窓のこの建物は、海産物の商家だった。
駅からすぐの閑静な通りには、古い建築がぼちぼち現れる。
しばらくして郵便局の建物に差し掛かったあたりから、
昔町の雰囲気が増してくる。
赤塀が目を惹きつける、まるで遊郭のような建物がある。
創業が1753年の老舗の醤油店、登録有形文化財にも指定されている。
一帯の建物が赤く塗られており、べんがらは建物の内部にまで及ぶ。
赤く染まった店内の路地なども他では見られない、非日常的な光景だ。
宇多津
高松から電車で30分ほど、瀬戸大橋が近く、
四国の玄関口ともなる宇多津は、
おそらく四国のガイドブックなどでも
あまり紹介されていない町になると思うが、
ある目的としてお薦めしたい町となる。
駅から徒歩で20分ほどの距離に、古町と呼ばれる界隈がある。
古町は道が整備されていて、古い建物やお寺がたくさん残っている。
その中の2棟が、あのアレックス・カー氏が監修した古民家の貸し切り
宿となっていて、街の風情にどっぷり浸かることができる。
内装も洗練されていて、屋内は驚くほど広い。
一棟貸しのため、もちろん夕食などは付いていないが、
周辺には有名なうどん店や洋食店もあるため、食べるものには困らない。
ちょっと駅から遠いのが難点だが、追加費用で電動レンタサイクルもできる。
レンタサイクルがあれば、宇多津の海辺の散策もすぐだ。
四国の旅の拠点として、ぜひお薦めしたい。
卯之町
卯之町は、松山から特急列車で1時間ほどの距離、
愛媛の西のはずれ、宇和島からすぐ近くの、宇和島藩の宿場町として発展した町。
香川の引田とは、四国の反対側に当たるような位置だ。
宇和島藩は石高が大きな藩ではないが、
教育と殖産には力を入れており、特に蘭学者たちを育んだ町でもある。
卯之町にはその名残が残っていて、現在も学校関連の建物が残っている。
「 開明学校」は、明治15年築。四国では最古の小学校といわれている。
擬洋風建築ともいえるような、アーチ状の窓が特徴的な
親しみやすい外観をしている。
また、在りし日の宿場町の姿も、より素朴で自然なまま残っているように感じられる。
内子
内子は四国でも有数の規模を誇る昔町。
豪商の町というのは、その残り香が必ずあるもので、
この町の随所に残る凝った意匠は、それを物語っている。
見どころが多く、駅からまた町並み保存地区までは距離があるため、
ここでも電動自転車でのサイクリングをお薦めしたい。
電動自転車は観光案内所で借りることができる。
内子は木蝋と和紙で栄えた。
木蝋とは蝋燭のことではなく、ハゼノキの実から取り出した植物油のこと。
石鹸や鬢(びん)付けなど、かつては日用品として使われていたが、
その生産高の30%を内子が占めていたというから、驚異的であった。
長い本町通りの商店街から曲がると、坂道になるとともに、
町並みの風情もさらに増してくる。
どこまで続くのか、わくわくしてくるほど、奥へ奥へと続いてゆく。
また内子には、「せだわ」と呼ばれる独特の空間があり、
そこも見逃せない。
隣家との間に1mほどの空間があり、漆喰の壁の間に水路や道路が残っている。
その道がなんとも風情があり、塀と塀の隙間から見る通りの姿なども、なお良い。
木蝋で栄えた家々には、普通の商家では見られないような、絢爛豪華な懸魚や鏝絵の意匠が見られる。
内子の町並み保存地区の広さは、想像していたよりはるかに広く、
本町通の商店街とは雰囲気が変わり、長閑さを増している。
木蠟資料館となっている上芳我邸は、なんという立派な建物だろう。
かつての木蝋の栄華を物語っている。
香川は高松を起点として、引田と宇多津の町並みへ。
愛媛は松山を起点として、卯之町と内子の町並みへ。
それぞれ半日かけて、じっくりその町の風情に浸ることをおすすめしたい。
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