フィレンツェの旅

/シエナの旅

かつて闘争を続けたふたつの都市には、

それぞれの色がある。

ルネサンスの華美が残るフィレンツェ
中世の趣がそのまま生き続けるシエナ

どちらも唯一無二の存在であり
甲乙つけがたい.



ヴェッキオ橋のペーパークラフト


     フィレンツェ
       ・サンタ・マリア・ノヴェッラ
       ・ドゥオモ
       ・サンタ・クローチェ
       ・田舎道
       ・ミケランジェロ広場


     シエナ
       ・カンポ広場
       ・シエナのドゥオモ
       ・マンジャの塔


  • ィレンツェは、都心部に歴史的建築や美術館が集中しているため、
    駅からバスなど交通機関を一切使わず、歩いて周ることができる。

  • の都、フローレンス。
    イタリアの街には色がある。
    それは、その土地土地の岩石に根付く色。
    シエナは黄土色、フィレンツェはヴァーミリオン(朱色の一種)。
    ヴァーミリオンは厳密にはフィレンツェ上空の色、屋根の色である。

    サンタ・マリア・ノ・ヴェッラ駅に降りて間もなく目に入るのは
    サンタ・マリア・ノ・ヴェッラ教会の裏側だが、大理石が使われていない
    側面および裏面は、やや黒ずんだ黄褐色をしている。
    この色こそ、フィレンツェの街並みの基調となる石材の色だという。




  • ィレンツェの街中を歩いていても、ドォーモのクーポラやロレンツォ教会など、
    一部の聖堂以外でヴァーミリオン色を殆ど確認できないのは、
    フィレンツェの街の建物のどれもが高く、地上からは屋根の色が一切見えないからだ。




  • 代都市としてのフィレンツェには、
    どこかごちゃごちゃした煩雑な印象がぬぐいきれず、
    同じく花の都と称されるパリほどの洗練された魅力は感じられない。
    逆に、中世の街並みの雰囲気や原風景を求めるなら、近隣都市シエナの魅力が勝るであろう。
    しかし、街の至る所から見えるドォーモや、
    美しい郊外の丘と都市とを隔てるアルノ川、
    ウフッツィやメディチ家の遺産となる建物を訪れると、
    やはりここが世界で随一の芸術都市であると実感できる。


    の街のシンボルであるドォーモ。
    この美しく圧倒的なスケールを誇る建築物は、
    調和の取れた淡い色彩の3色の大理石で構成されている。
    大理石の名産地として名高いカッラーラからは「白」、
    大自然豊かなマレンマ地方からは「緑」、
    ライバル都市シエナ周辺からは淡い「赤」。
    この三色が巧みに構成されて、落ち着いた色彩の調和を生み出している。





    タリアで「古い橋」を意味するヴェッキオ橋。その名のとおり、フィレンツェでは
    最古の橋である。



    ンタ・クローチェ教会。ここも単なる教会にとどまらず、
    ガリレオ、マキャベリ、ミケランジェロ、ダンテの墓や記念碑や
    壁画・彫刻が立ち並んでいる。
    教会の中は美術館のように見所が多く、伝統的で良質と評判な
    革製品の制作学校も隣接していることから、革製品の製造工程を覗くこともできる。


    ォーモのクーポラ(円形ドームの頂上)からの眺めは、やはり格別に素晴らしい。
    上空からみると、建物が高層で密集しているため、街並みに道路がまったく見えないことに気がつく。
    そのおかげでフィレンツェのバーミリオン色が映え、
    地上からはあまり感じられない中世の雰囲気をそのままに感じ取ることができる。



  • して、さらなる魅力はフィレンツェの田舎道である。
    クーポラからフィレンツェを一望すると、この街が
    美しい山々に囲まれていることがわかる。
    都市部を離れて一歩山道に入ると、そこから味わい深い石畳の道が
    続いている。

    ェッキオ橋を越えて街をぬけ、続く坂道を登っていけば、
    もうそこからフィレンツェの田舎道に差し掛かる。

  • の界隈から雰囲気ががらりと変わり、
    観光客の姿はまばらになり、自然体なフィレンツェの姿を肌で味わうことができる。


    道が終わると眺望が開け、いつの間にか都市部からずいぶん歩いたことに気がつく。
    あまりに清清しい散策は、歩いた距離をも忘れてしまうようだ。



  • こから展望スポットのミケランジェロ広場へと向かう。
    途中にいくつも眺望スポットがあり、田園を挟んでのフィレンツェの姿は
    また一段と美しく清らかにみえる。


  • ケランジェロ広場に着くころには夕方に。
    斜陽はアルノ川のヴェッキオ橋にスポットライトをあてるかのように、
    劇的な印象を残しつつ沈んでいった。



  • くから金融業で栄え、
    かつてはフィレンツェのライバル都市だったシエナ。
    13世紀ごろには都市の最盛期を迎え、
    有名なカンポ広場、市庁舎などもこのときに建てられた。
    黒死病などで衰退したシエナはやがてフィレンツェとの抗争に敗れ、
    歴史の表舞台からは身を引くことになる。
  • エナには、フィレンツェからバスで1時間半ほどかけて行くことができる。
    フィレンツェ発着のバス乗り場は駅から少し離れたSITAのバスターミナルに
    あるため、事前に乗り場を把握していくことが望ましい。


    状に広がるカンポ広場。
    中世そのままの姿で残る広場の中では
    ヨーロッパで最大であり、傾斜のついたその独特の空間は
    思わずどの角度からも眺めてみたくなる。




    エナのドォーモ
    フィレンツェのドゥオモなどと比べるとスケールの大きい聖堂ではないが、
    外装も内装も尋常ではない凝りようで、ストライプのデザインも他の教会に
    類を見ないほどに美しい。


    の聖堂でもフィレンツェの存在は多分に意識され、
    聖堂を最大級のものに拡張する計画があった。
    しかし、先に述べた黒死病の影響などにより財政難に陥り、
    計画は頓挫された。


    装の美しさにも息を呑む。
    2世紀にわたって総勢40名もの芸術家たちが緻密に制作した
    大理石のパネルもしかり、構成要素の全てが芸術品で成り立っている。


    ンポ広場に建つマンジャの塔からはシエナが一望できる。
    黄土色の街。それはフィレンツェよりも素朴で原風景的であり、
    それが中世の街並みをそのままいまに残すシエナの魅力でもある。

    地に根付く色と都市が融和された景観からは、
    人の生命力とでもいうべき温かみが感じられる。
    それは、コンクリートで埋め尽くされた現代都市からは感じ取ることのできない、
    本能的な懐かしさを覚えるからなのかもしれない。






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